Friday, October 27, 2017 5:47 PM

聖火空輸、20年も国産機で YS11元整備士、実現期待

 2020年東京五輪の聖火空輸を、特別な思いで心待ちにする元航空整備士がいる。1964年東京五輪で国産プロペラ旅客機「YS11」による輸送隊の一員だった福井裕さん(84)=奈良県大和高田市。米統治下の沖縄を歓喜の中、送り出され、自衛隊機に守られながら運んだ。日本で2度目の夏季五輪まで28日で1000日。福井さんは、20年大会も開発中の国産ジェット機「MRJ」を使った空輸実現を期待している。

 64年大会の聖火リレーは同年9月に沖縄で始まり、その後、鹿児島、宮崎、北海道の3地点から4コースに分かれて東京を目指した。沖縄から各地に聖火を運んだのが、初の国産旅客機YS11。開発が遅れ、直前まで試験飛行していた試作2号機を全日空がチャーターし、自社の塗装を施した特別機だった。

 全日空の整備士だった福井さんはYS11の完成が迫った63年秋、製造会社に出向。だが翌64年6月ごろ、突如呼び戻され、同機の整備に必要な国家資格を取るよう命じられた。間近で機体を見た経験を生かし、わずか2カ月で試験に合格。特別機の飛行前後に必要となる整備・点検役として、聖火輸送に同行することになった。(共同)