Friday, December 01, 2017 6:39 PM

国民と苦楽共に貫く 被災地、戦没者への思い

 天皇陛下は、6月に退位を実現する特例法が成立して以降も各地を精力的に回り、公務に臨まれている。11月には、皇后さまと2泊3日で鹿児島県の屋久島や奄美群島を訪れ、噴火災害の被災者を励まし寄り添う機会があった。空路も含め約3200キロに及ぶ離島への旅。側近は「国民と苦楽を共にする象徴天皇としての姿勢は、退位まで変わらない」と語る。

 11月18日、奄美群島の沖永良部島から鹿児島空港に向かう特別機の中。陛下は窓に額を付けるようにして海上をのぞき込んでいた。側近によると、探していたのは悪石島。太平洋戦争中の1944年8月、沖縄から長崎に向かっていた学童疎開船「対馬丸」が、米潜水艦の魚雷攻撃を受けて撃沈された海域だ。

 陛下は戦後70年の節目に那覇市にある対馬丸の記念館を訪れるなど、亡くなった自身と同世代の子どもたちに心を寄せてきた。今回はあいにく雲が厚く目視できなかったが、宮内庁幹部は「犠牲者を悼むお気持ちだったはずだ」と語る。(共同)