Thursday, January 25, 2018 11:12 AM

不妊手術2700人確認 旧優生保護法資料が現存

 「不良な子孫の出生防止」を目的に1996年まで存在した旧優生保護法を巡り、知的障害などを理由に不妊手術を施されたとみられる個人名が記された資料が、19道県に約2700人分現存していることが25日、共同通信の調査で確認された。不妊手術を受けたとされる約2万5000人の1割にとどまるが、当事者の「被害」の裏付けとなる可能性がある。国は個人資料の保存状況を把握しておらず、実態調査など今後の対応が問われる。

 30日には、旧法下で不妊手術を強いられた宮城県の60代女性が国に損害賠償を求める初の訴訟を起こす。2月2日には仙台弁護士会が電話相談窓口を設置。札幌、東京、大阪、福岡の弁護士会にも窓口開設を呼び掛けており、資料開示や謝罪・補償を求める動きが広がるか注目される。

 一方、約2万5000人の9割近くは関連資料が保存されていない可能性も判明。既に廃棄されたものが多いとみられ、識者は「当時の実態解明が困難になり、被害者への謝罪や賠償も難しくなる」と指摘している。(共同)