Friday, June 08, 2018 10:52 AM

マイクロソフト、海底データ・センターを設置

 マイクロソフト(Microsoft)は、海底データ・センターの試作版をスコットランド沖のオークニー諸島の近くに設置した。

 マリタイム・エグゼクティブ誌によると、海底データ・センターが実用化されれば、クラウド電算を支える設備機器を人口の集中する地域の近くに設置できる可能性が高まる。世界人口の半数以上は、海岸線から120マイル以内に住んでいる。データ・センターが物理的に近くにあれば、電送距離が短くなり、通信速度や処理速度が高まる。

 今回の試作版データ・センターは、潮力&波力発電の試験所であるヨーロピアン・マリン・エネルギー・センターに設置された。潜水艦の技術を活用した格納容器内に12台の機器収納棚が取りつけられ、計864台のサーバーと冷却システム、ストレージ機器が格納されている。

 同データ・センターの組み立てと試験はフランスで行われ、スコットランドまでトラックで輸送されたあと、海底に建造された基礎に固定された。同データ・センターは、オークニー諸島からの海底ケーブルで給電される。電力使用量は、最大稼動時で250キロワット未満だ。

 同データ・センターには、標準的な貨物コンテナに似た箱が使われた。船や鉄道、トラックでの輸送に際して既存の物流網を使えるようにするためだ。

 設計や設置に協力したフランス企業ナヴァル・グループ(Naval Group)は、潜水艦に使われる熱交換方法をデータ・センター向けに調整し、また、サーバー・ラックの裏側に置かれたラジエーターに海水を直接送り込み、海中に排出するシステムを実現した。ナヴァル・グループは、潜水艦や軍艦を建造する大手。

 海底データ・センターは、陸上データ・センターの最大のコストの一つである冷却費を劇的に削減できるうえ、洋上風力や潮力タービンからの再生可能エネルギーを利用できる可能性がある。

 マイクロソフトの海底データ・センター構想は2014年から始められた。今回の試作版は、保守管理不要で最大5年間の稼働が可能と想定される。

https://www.maritime-executive.com/article/microsoft-installs-prototype-underwater-datacenter#gs.ZQGwHqU