Friday, November 30, 2018 8:52 AM

アマゾン、機械学習向けチップを独自開発

 オンライン小売り最大手アマゾンは、独自開発した機械学習向けのマイクロチップ「インファレンシア(Inferentia)」を発表した。半導体大手のインテルやエヌビディアが新しい収入源として期待する分野に新規参入する。

 ロイター通信によると、アマゾンはこれまで、インテルとエヌビディアから大量のチップを購入してクラウド・コンピューティング部門アマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)を成長させたが、チップの自社開発も進めてきた。アマゾンのチップは、音声を文字に翻訳してシステムに要求するといった人工知能(AI)アルゴリズムを使う時に必要な推論(inference)と呼ばれるプロセスを効率化する。

 チップの販売はしないため、アマゾンがインテルやエヌビディアにとって直接の脅威とはならないが、2019年からクラウド顧客向けに自社チップを使ったサービスを販売する予定で、アマゾンが自社チップに大きく依存するようになれば、エヌビディアやインテルは主要顧客を失うことになる。

 モーニングスターのアナリストによると、機械学習の推論チップ市場は現在はインテルが優位だが、エヌビディアも9月に独自のチップを発売した。同市場は21年までに118億ドル規模に達すると予想される。

 アマゾンはこのほか、クラウド部門グラビトン(Graviton)向けのプロセサーも発表した。このチップはソフトバンクグループが支配するアーム・ホールディングスの技術が基になっている。アーム系チップは現在携帯電話で使われているが、複数の企業がデータセンターにも使えるようにする研究に取り組んでいる。データセンター向けチップ市場を支配するインテルにとっては、こうした動きも脅威になる。