Monday, October 03, 2016 10:00 AM

8億人分の食料生産可能に〜米国人が食生活変えれば

 米国人が食生活を変えれば、より多くの人に食料を供給できる可能性があるとの調査結果を、タフツ大学フリードマン栄養科学政策大学院(マサチューセッツ州)がまとめた。もし米国人が乳製品を含む菜食中心の生活にすれば、現在国内で食料生産に使われている6億3000万ヘクタールの土地で8億人を養えるという。

 食の情報サイト・フードタンクによると、国民の1人の食料を供給するために必要な農地が、食生活の違いによってどれほど変化するかをタフツの研究班が分析したところ、今の一般的な食生活より肉の消費量を減らせば、もっとたくさんの人に食料を供給できる可能性があるとの結論が示された。米本土全体を対象に既存の農地が持つ食料の供給力を推定した研究はこれが初めて。

 研究班は、10通りの食生活を想定して農地の生産能力を分析。1つは平均的な米国人の食生活、もう1つは平均的な食生活をしながら農務省(USDA)が2010年に発表した栄養指針が推奨するカロリー摂取量に従った場合、残りは栄養指針に従いつつ肉と乳製品の消費量をゼロ(完全菜食)から全人口が肉を食べる場合まで8通りの食生活を想定した。

 この結果、最も広い土地が必要になるのは現在の食生活を続けた場合で、1人当たり年間1.08ヘクタールが必要だが、菜食中心の食生活だと0.13ヘクタールで済む場合が3通りあることが分かった。全米の農地面積(耕作地、多年生作物栽培地、放牧地)を、国民1人を1年間養うのに必要な面積で割ると、農地が何人分の食料を生産できるか想定ごとに算出できるという理屈で、論文は「農業の食料供給力は、食生活の選択に大きく影響されると考えられる」と指摘した。

 想定によってどの土地が必要になるかも異なり、肉食中心の場合はすべての農地を使うが、菜食中心だと放牧地は不必要になる。また、全国民が完全菜食になった場合の農地の食料供給力は、耕作に適した土地の推定面積によって変わってくる。