Thursday, July 08, 2021 2:54 AM
世界130ヵ国、最低法人税率15%以上に合意
世界の主要国らは7月1日、パリの経済協力開発機構(OECD)会合での交渉の結果、15%の最低法人税を多国籍企業に課すことに大枠で合意した。
フィナンシャル・タイムズによると、約130ヵ国が合意した同案では、世界のおもな多国籍大企業らに年間計1000億〜1500億ドルの法人税を払わせることになる、とOECDは見積もっている。
世界共通で最低15%と規定する最低法人税は、低税率を武器にして国際的大企業を誘致しようとする国々の法人税率引き下げ競争に歯止めをかけることがねらいだ。課税対象は、年間総収入が7億5000万ユーロ以上の多国籍企業となる。
OECDと会合参加国らはそれと同時に、本国外事業本部を低法人税率国に故意に置くという節税策を長年にわたって実行してきた米デジタル・サービス大手らに対するデジタル課税案でも大枠合意した。
デジタル税の対象は、売上高が年間200億ユーロ(約2.6兆円)を超え、利益が売上高の10%を超える会社と規定される。実質的に、グーグルやフェイスブック、アップルといった米オンライン・サービス大手らを狙い撃ちにするものだ。その対象となるのは世界で約100社と想定される。
デジタル税では、利益のうち売上高の10%を超える部分を「超過利益」と定義し、超過利益の20〜30%を売り上げ発生国群のあいだで配分する内容。それを受け取れる国は、当該会社の売り上げが当該国の市場で最低100万ユーロ記録されることが条件だ。
オンライン・サービス業界では、事業拠点がなくても消費者がいる場所であれば売り上げを発生させることが可能だ。データ・センターや登記上の本部をアイルランド(法人税率12.5%)といった低税率国に置くことで、ドイツやフランス、英国といった高税率国の法人税を避けながら、それらの大市場の利用者によってデジタル広告収入やアプリケーション流通手数料収入を稼ぐことができる。
OECDは、最低法人税とデジタル税を2023年に施行したい考えだ。合意した国々はそれぞれの議会で協定を批准し、15%以上の法人税をそれぞれに決めることになる。最低法人税が実施されると、物理的設備や事業所がなくても一定数以上の利用者がいる国では利用者基盤の規模に応じてその税収の一部を受け取れるようになる。
https://www.ft.com/content/d0311794-abcf-4a2a-a8a4-bcabfc4f71fa