Wednesday, September 08, 2021 11:39 AM

インテル、欧州に二つの新たなチップ工場を建設へ

 インテル(Intel)は、最高で約950億ドルを投じて新たなチップ生産施設群を欧州に建設する計画を打ち出した。世界的なチップ不足に対応するための越境生産能力拡充競争に対抗するためだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同社のパット・ゲルシンガーCEOは9月7日、欧州内の新たな場所に二つのチップ工場を建設し、今後10年間での需要に応じてそれらの規模を拡充する可能性をドイツのミュンヘンで明らかにした。総工費として最大800億ユーロ(約950億ドル)を見込んでいる。それによって、コンピュータや自動車、電子機器類に搭載されるチップのさらなる需要増に応えられるようにする。

 同氏は現在、ミュンヘン国際自動車見本市を訪れている。

 インテルは、チップ増産計画の一環として受託生産事業にも進出する計画をすでに発表している。同分野の世界最大手TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.)は、米国や欧州において向こう3年間に計1000億ドルを投じて生産能力を拡大する計画を進めている。そのほか、韓国サムスン電子は先月、設備投資を33%増やし、今後3年間で2050億ドル以上をチップ生産施設群の拡充に投じる方針を公表した。

 インテルの計画では、二つの欧州内新工場のうちアイルランド工場を自動車向けチップの生産に特化させる、とゲルシンガー氏は話した。同社は、受託生産事業において欧州で新たな顧客の獲得をねらっている。特に自動車業界を標的市場と位置づけている。

 ダイムラーのオーラ・ケレニウスCEOは、自動車向けチップが2023年まで不足すると予想しており、チップ供給を追跡しながら需要に応じて調達を最適化できるように複数のチップ・メーカーと契約している、と話した。インテルは、自動車メーカーらがチップ調達先を分散させようとしている業界動向を視野に、TSMCをはじめとする受託生産大手らに対抗する姿勢だ。

 ゲルシンガー氏は、車向けチップ市場が2030年までに2倍以上に拡大すると予想する。同氏によると、新型高級車の材料コストの20%以上を半導体が占めるようになると予想される。その割り合いは2019年には4%だった。1台あたりの車載チップがどれほど激増しているかを顕著に示す数字だ。

https://www.wsj.com/articles/intel-plans-investment-of-up-to-95-billion-in-european-chip-making-amid-u-s-expansion-11631027400?mod=tech_lead_pos2