Monday, October 23, 2023 11:55 AM

ハマスとイスラエルの紛争が人工知能業界におよぼす影響

 多くの国によってテロ組織に指定されるイスラム過激派武装組織ハマス(ガザ地区拠点)がイスラエルを奇襲攻撃したことで、人工知能業界に影響が広がっている。

 ベンチャービート誌によると、スタンフォード大学が2022年に行った調査では、イスラエルは人工知能分野のシステムと技能の集中度という点で世界の上位5ヵ国に入ると評価された。ゴング(Gong)やAI21ラブス(AI21 Labs)、ヴァービット(Verbit)、ランAI(Run AI)、トリゴ(Trigo)、パインコーン(Pinecone)といった人工知能新興企業らがイスラエルの成功物語として語られているほか、グーグル(Google)やエヌビディア(Nvidia)、マイクロソフト(Microsoft)といった米技術大手らも同国でそれぞれ数千人単位の従業員を雇っている。

 人工知能開発に重点を置くイスラエルのベンチャー・キャピタル投資会社や経営者、起業家、研究者らは、10月7日の攻撃以来、リンクトインやほかのソーシャル・メディアで怒りや悲しみをあいついで表明した。言うまでもなく、直接的に身内や知り合いを亡くした人も多数いる。

 エヌビディアは、16日にテルアビブで開催する予定だった催事をキャンセルし、CEOのジェンセン・フアン氏は、イスラエルの従業員らにお悔やみのメッセージを送信した。

 一方で、オープンAIのサム・オルトマンCEOと共同設立者のイリヤ・スツキヴァー氏がこれまで公式に声明を出していないことに対して批判の声もある。「あなたがたがテルアビブに次回、来たときに地元の技術業界があなたがたに会うことを拒否しても驚くな」といった投稿が確認されている。

 そのほか、イスラエルとハマスの紛争は、誤情報や「幻覚」といった生成人工知能の問題点に光をあてるという効果もおよぼしている。グーグルの生成人工知能チャットボット「バード(Bard)」や、マイクロソフトがオープンAIの生成人工知能を統合した検索エンジン「ビング」、オープンAIの生成人工知能チャットボット「チャットGPT」は最新の情報を取り込んでいないため、正確な情報と誤情報の混在した答えを返すことが複数のメディアで報じられた。また、合成画像を検出するツールが本物の画像に偽のレイベルをつけている事例も確認されている。

 さらに、ハマスによる奇襲作戦が成功した背景に、イスラエルによる人工知能の過信があった可能性も指摘される。ロイター通信によると、イスラエルは攻撃される約1週間前にNATO幹部をガザ地区との境界線に招待し、ハイテク監視体制視察団を案内したという。

https://venturebeat.com/ai/as-israel-goes-to-war-global-ai-industry-faces-impacts-on-several-fronts-the-ai-beat/