Monday, April 01, 2024 7:29 AM

ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響

 メリーランド州ボルティモアで起きた橋の崩落で、東海岸の主要港の一つであるボルティモア港の船舶輸送が停止しており、さまざまな方面に影響が出ている。

◇石炭輸出がストップ

 ウォールストリート・ジャーナルによると、ボルティモア港では、3月26日未明にコンテナ船が港のすぐ南にあるフランシス・スコット・キー橋に衝突した直後から船舶の交通が完全に遮断された。同港は東海岸で5番目に利用の多いコンテナ港だが、31日時点でまだ再開のめどは立っていない。

 石炭輸出業者のコンソル・エナジーは、橋崩落によって海上ターミナルに船舶が出入りできず操業に支障が出ており、橋の周辺に安全地帯を設定している沿岸警備隊と連絡を取り合っている。港湾当局によると、橋の崩落によって封鎖された区域の周辺では貨物船1隻と海軍の輸送船2隻が港に停泊しており、さらに約20隻がボルティモアの南のチェサピーク湾に停泊しているという。

 S&Pグローバルのデータでは、ボルティモア港は2023年、バージニア港に次いで国内第2位の石炭輸出港となっており、同年1〜3月期は出港する貨物量の約3分の1を占めた。同港の石炭輸送の多くを扱う貨物鉄道大手CSXは、石炭顧客と緊急対応策について話し合っており、国際複合一貫輸送コンテナの港への出荷を停止している。

 橋の近くに大規模な配送センターを持つインターネット通販大手アマゾンなどの企業は、港の閉鎖、道路の閉鎖、橋の喪失が業務に与える影響をまだ評価中だが、物流専門家によると、人口密度の高い東海岸沿いには代替の高速道路や港が多数あるため、より広範な経済的影響は限定的な可能性が高いとの見方もある。

 サプライチェーン・リスク管理会社エバーストリーム・アナリティックスのインテリジェンス・ソリューション・グローバル・ディレクター、ミルコ・ウォイツィック氏は「影響はどちらかというと局地的になる」と考えており「輸入業者の多くは、ノーフォーク港やニューヨーク港、ニュージャージー港を経由するようになる」と見ている。