Monday, June 10, 2024 7:02 AM

グループ14、EV・家電用電池大手5社と長期供給契約

 EV用電池向け先端シリコン材料製造のグループ14テクノロジーズ(Group14 Technologies、ワシントン州)は、欧州、アジア、北米のEV大手3社および家電用電池メーカー2社と、5件の拘束力のある長期供給契約を締結した。契約規模は合計3億ドル以上。

 プレスリリースによると、これらの供給契約は、グループ14が目指す次世代シリコン電池技術の世界的な普及が前進していることを示している。契約によって同社の顧客は、自動車、家電、電動垂直離着陸機(eVTOL)など多様な産業に対して、現在生産可能な最高性能の電池を提供できるようになる。

 グループ14の負極用シリコン・炭素複合材料「SCC55」は、従来の黒鉛や酸化ケイ素(SiC)を使った負極と比べ、優れたエネルギー密度、より速い充電時間、より高い総合効率を実現するよう設計されており、顧客のカーボンフットプリント(炭素排出量)削減にもつながる。幅広い分野に適用でき、需要が高まっている。

 「SCC55」の需要は、全顧客ベースで2027年までに同社の予測生産能力の4倍以上になると予測されているため、グループ14は世界各地で急速に製造能力を拡大している。ワシントン州ウッディンビルにある同社の工場「バッテリー・アクティブ・マテリアルズ」(BAM-1)は、21年からトン単位の「SCC55」を生産しており、世界のリチウムイオン電池生産の95%を占める100社以上の顧客に材料を出荷している。

 同州モーゼスレイクに建設中の第2工場(BAM-2)は24年に生産を開始する予定で、当初の年間生産能力は、「SCC55」4000トンとなる見込み。これは電池容量換算で20ギガワット時(GWh)分に当たり、先進シリコン電池材料としては世界最大規模になる。

 韓国では現在、SKとの合弁工場の試運転が最終段階にある。同工場の「SCC55」の生産能力は年間2000トン(10GWh相当)となる。

 25年は生産能力が合わせて30GWh増える見込みで、グループ14はEV向け先端シリコン材料の世界初の量産メーカーとなる。