Friday, August 30, 2024 7:12 AM

アイディアルパワー、世界3位の自動車メーカーと協業

 高効率で広範な特許を取得した双方向半導体電源スイッチ「B-TRAN」の開発と商業化に取り組むアイディアル・パワー(Ideal Power、テキサス州)はこのほど、世界第3位の自動車メーカーとの提携を発表した。この自動車大手は、EVの電気機械式コンタクター(電磁接触器、電気回路の開閉を行う装置)に代わる可能性のあるB-TRAN対応コンタクターの使用について、アイディアルの技術陣と緊密に協力し、定期的に会合を開いている。

 アイディアルはメーカー名を公表していないが、ドイツのデータ会社スタティスタ(Statista)によると、2023年の世界新車販売台数第3位は韓国・現代(ヒョンデ)自動車グループだった。

 コンタクターは、EVの高電圧回路のスイッチとして機能する。電池、インバーター、車載充電器を回路から隔絶することで、車両が停止している時や修理中の安全を確保する上で重要な役割を果たす。

 コンタクターは双方向に開閉が可能で、EVには通常4〜6個のハイパワーコンタクターが搭載されている。ハイパワーEVコンタクター市場は、2025年には37億ドル規模を超えるまでに成長すると予測されており、アイディアルは、今後はソリッドステートコンタクターがシェアを伸ばし、機械式コンタクターは現在の半分以上まで縮小する可能性があると考えている。

 ソリッドステートコンタクターは、主接点に半導体素子を使った無接点の開閉器で、電気機械式コンタクターと比べて動作が非常に高速になり、アーク放電が発生せず安全性が向上する。磨耗する物理的な接点がないため部品が摩耗せず、信頼性が高まる。

 さらに、ソリッドステートコンタクターはトリップと電流リミットをプログラマブルに設定でき、安全診断機能も内蔵されている。EV向けでは電気機械式コンタクターよりも低コストになると見込まれている。