Wednesday, September 18, 2024 7:09 AM

EV生産で工場稼働率は大幅低下へ

 EV移行が遅れていることを受けたラインアップの変化で、今後10年間は工場の稼働率が大幅に低下する可能性が高いという予想を、グローバルデータが発表した。

 オートモーティブ・ニュースによると、自動車メーカーは全体を見ながらEVや内燃エンジン車(ICE)の生産計画を策定しているが、EVの販売台数が予想以上に伸び悩んでいるため、各社とも戦略調整が難しくなっている。工場にはEV製造に限定された工場もあれば、ICEだけを製造する工場、その中間もあり、稼働率は車の需要に左右される。

 グローバルデータによると、24年の北米工場の平均稼働率は70%で、大半の自動車メーカーが目指す水準には10ポイント足りないが、新型コロナウイルスの大流行と半導体不足で61%まで落ち込んだ過去4年よりは改善している。25年からは再び低下し、30年には65%、35年には63%まで落ち込む見込みだ。

 ライトビークルの販売は23年の1560万台から1700万台に増加し、その後横ばいになると見られ、EVのシェアは5月時点で約7%だが35年までには50%を超えると予想している。

 グローバルデータのジェフ・シュスター副社長(自動車調査担当)は「工場の稼働率が66%以下にとどまるのは非効率だが、今後数年間は70%以上を維持することは恐らく不可能」と話す。稼働率が改善されないのはEVへの移行が遅々として進まないためで、柔軟な対応が必要なこと、そしてICEとEVの両方、またその中間の全てを揃えなければならないことが非効率の原因になっている。

 結果的に消費者が求めるパワートレインの種類と工場が製造する種類が食い違ってくる可能性もあり、同氏は「生産能力が高すぎること以上に有害かもしれない」と指摘した。

 メーカーによって異なるが、北米組立工場の全体的な稼働率は28〜35年に66%以下にとどまる。ホンダ、現代(ヒョンデ)、メルセデス・ベンツ、トヨタ、VWグループは30年に70%を超えるが、GM、フォード、BMW、ルノー・日産・三菱連合は66%に満たない。

 EVだけを生産する工場の稼働率は28年の52%から35年には67%に上昇し、ICEとHV工場は74%から58%に低下する見込みだ。