Monday, June 09, 2025 7:15 AM
テスラ、事故データ公開を拒否〜「他社に利用されるから」
電気自動車(EV)大手テスラは現在、同社の先進運転支援システム(「オートパイロット」や「フルセルフドライビング」)に関連する事故データの公開を巡ってワシントン・ポスト紙と法廷で争っている。テスラは、事故データが一般に知られると「他社にシステムの開発状況が分かり、利用されて経済的損害を被る」として公開を拒んでいる。
エレクトレックによると、運輸省道路交通安全局(NHTSA)は自動車各社に対し、ADASシステムに関連する全ての事故を報告するよう義務付けている。現在、事故報告の大半をテスラ車関連が占めるが、同社はNHTSAの機密保持規定を利用して関連データのほとんどを黒塗りにしているため、一般消費者は詳細をほとんど知ることができない。
ポスト紙はテスラとNHTSAを提訴し、それぞれにデータの開示を求めている。テスラは最近提出した書類で「求められている情報の開示は、テスラに種々の損害をもたらす可能性がある」と主張。その中で「ADASのハードウェアおよびソフトウェアのバージョンを公表すれば、競合他社がそれらの有効性を評価できてしまい、システムごとの事故件数を割り出して、テスラの技術開発の進み具合に関する結論を導き出せてしまう」と説明している。
つまり、テスラがオートパイロットやフルセルフドライビング機能を使用中に起きた事故の詳細を公開しない理由は、競合他社がテスラのシステムの中からほかのバージョンより事故が多いバージョンを特定し、各社が独自開発中のシステムの改善に利用する可能性があるから…ということになる。
ポスト紙の代理人らは「テスラのADASソフトウェアとハードウェアのバージョンはドライバー自身が確認できる状態にあり、元々秘密ではない」と指摘し、事故データを非公開にすることは無意味だと反論している。