Tuesday, June 17, 2025 7:19 AM
グッドイヤーは関税の勝者か〜タイヤ大手、金融街が注目
トランプ関税の恩恵にあずかる企業として、ウォールストリート(金融街)ではグッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーが注目されている。
オートモーティブ・ニュースによると、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠しない製品に課される25%の関税に対応するため、莫大なコストや生産拠点の移転問題などに苦慮する自動車部品業者が多い中、グッドイヤーは米国向け供給のうちUSMCA外からの調達率は12%にとどまり、カナダとメキシコの工場は完全にUSMCAに準拠している。
この結果、同社は関税の影響を計3億ドルと見込んでおり、競合他社についてはその3〜4倍の負担を強いられる可能性があると予想している。
グッドイヤーは現在、2025年12月を期限とする2年間の事業改革計画の終盤に差し掛かっており、ダンロップ・ブランドや化学事業の売却を通じて収益力の改善を目指しているほか、米国事業の優位性が高まる中で高級タイヤの生産増強計画を進めている。
グッドイヤーはこれまで、輸入品の脅威にさらされ続けてきた。しかし25年はトランプ関税の影響で、年初から株価が大幅に上昇。米国での競争優位性が拡大すると見込まれ、仏金融大手BNPパリバは同社を「真の関税勝者」と評している。
また、売上高の80%がアフターマーケット向け製品というのも同社の強みで、一般消費者が相手のアフターマーケットでは、自動車メーカーとの契約などに束縛されずコスト転嫁もしやすい。さらに、タイヤは車の必需品で、価格が多少上がっても購入されるため、需要は堅調と考えられる。
ただし、原材料や商用車向けタイヤに関しては関税の影響が及ぶ可能性がある。トランプ大統領が圧力を受けて関税政策を引っ込めれば、アジアからの輸入圧力が再び強まるリスクも残っている。