Tuesday, December 13, 2016 9:56 AM

空きビル転用の都市農園、食料問題の解決に一役

 空きビルを活用した都市農園が、地域の食料不足解消に一役買い始めている。

 食の情報サイト・フードタンクによると、ワシントンDC北東部で生まれ育ったナディア・ロビンソン氏は、シラキュース大で生物工学と起業に関する学位を取得後、生鮮食品や栄養に関する知識が不足する地元の問題解決に取り組むため、民間団体ローカルズ・グロウ・スマートを設立した。食料不足の解消、職業訓練、気候の変化と農業をめぐる情報の循環、都市部の空きビル利用…の4つを重要項目に掲げ、ローカルズは空きビルを転用した会員の訓練施設として面積3000平方フィートの室内農園を作った。

 空きビル農園を首都の「垂直都市農園」第1号として成功させたいロビンソン氏は、「私が失敗しても、誰かがそれを教訓に前へ進んでくれればいい。都市農園は伝統から外れているため、常識にとらわれない発想が必要になる」と話す。

 空きビル農園では公立校の生徒や新卒者に対する実地研修も行われている。種植えから1〜2週間で収穫する野菜、ハーブ、食用花などのマイクログリーンを育てており、土を使わず、水で魚と野菜を一緒に育てられる独自のアクアポニックス設計によって、単位面積当たりの収量は伝統農法より80%以上多く、水と農地の使用量および面積は90%少ない。

 地元スーパーとの連携強化で店頭に並ぶ生鮮品の輸送距離も短縮され、トラックの排ガスがもたらす温暖化への影響も緩和されているという。

 ローカルズはDCに隣接するメリーランド州当局との間でも、財源確保や教育制度、区画規制で協議を進めている。室内農園の経営は小企業として登録するため、厳しい区画規制を受けることも少ない。