Sunday, July 03, 2016 8:37 AM

オゾン層の回復、初確認 南極で、フロン規制受け

 有害な紫外線をさえぎる効果があるものの、一時は破壊が進んだ大気上空のオゾン層が、今世紀に入って回復傾向にあることを初めて確かめたと、マサチューセッツ工科大のチームが1日付の米科学誌サイエンスに発表した。破壊物質のフロンを規制してオゾン層を保護する国際条約「モントリオール議定書」の効果が表れた形だ。

 日本の昭和基地の観測データなどを分析した結果、南極上空でオゾン層が極端に薄くなって穴が開いたような状態になる「オゾンホール」が、2000年を境に小さくなっていた。チームを率いるスーザン・ソロモン博士は「世界が共に行動することで、地球が回復に向かうのを見ることができた」としている。

 オゾンを破壊するのは古いエアコンや冷蔵庫、スプレー缶などに使われる人工化合物のフロン。大気中に放出されてオゾンホールが拡大し、紫外線を浴びることで皮膚がんが増える懸念が1980年代以降に高まった。87年にフロンの製造や使用を規制するモントリオール議定書を採択。全廃に向けた段階的な取り組みを各国が進めている。(共同)