Tuesday, July 05, 2016 11:14 AM

英国のEU離脱、サプライヤー計画見直しも

 英国のEU離脱「Brexit(ブレグジット)」で自動車サプライヤーが戦略の見直しを迫られそうだ。

 オートモーティブ・ニュースによると、英国がEUとの間で新たな貿易協定を成立させるまでの間、サプライヤーは投資計画を先送りせざるを得ない状況だ。不透明感が解消されるには数年を要する見通しだが、その間はサプライヤーと顧客の自動車メーカーのいずれも生産能力の拡大を凍結する可能性が高い。

 ブレグジットで今後、EUに輸出される英国産車両・部品と、EUから英工場に輸入される製品に関税が適用されるかどうかに注目が集まる。

 IHSオートモーティブのアナリストを務めるイアン・フレッチャー氏は、「全てが当事国の政治家による交渉に掛かっている」とコメントした。

 英国内16工場でタイヤ、内装トリム、エンジン、シャシー部品を生産する独コンチネンタルのエルマー・デゲンハート最高経営責任者(CEO)は、最終的にEU解体につながれば甚大な影響を被ると警告した。

 一方で現地生産をしているサプライヤーにとっては、ポンドがドルに対して30年来の低水準まで下がったことで、輸出部品に価格競争力が備わるというプラス面もある。

 伊タイヤ製造大手ピレリは「輸出に関していえば、高い原材料コストがポンド安と運営費の抑制で相殺できる」とコメントした。
 フレッチャー氏はしかし、ポンドの下落効果よりも欧州経済の弱体化による打撃の方が大きいとの見方を示した。