Tuesday, February 28, 2017 10:17 AM

米国製品扱う企業も「国境調整」に懸念

 下院共和党が税制改革案に盛り込んだ法人税の「国境調整」に、輸入業者だけでなく「メイド・インUSA」商品を販売する企業も懸念を示している。

 シカゴ・トリビューンによると、小売業界では最近、多くの商品を輸入する大手の幹部がトランプ大統領と会談し、課税額が増えれば消費者の支払う金額が上がることになると警告した。一方で、米国製紳士服ブランド「ハート・シャフナー・マークス(Hart Schaffner Marx)」の生産・販売・マーケティングを行うWダイヤモンド・グループのダグ・ウィリアムズCEOも「輸入品に20%の税金がかかると税負担は膨大になり、その一部は客が負担することになる」と懸念している。同ブランドが提供している年間22万5000着のスーツやジャケットは、縫製は国内だが生地は海外から輸入しているためだ。

 婦人服ブランド「スキ&ソレイン(Suki + Solaine)」も、ほとんどの商品は6人の社員が国内で作っているが、必要な良質のプリント布地やニット素材は国内では見つからないため輸入している。2014年にブランドを立ち上げたブランディ・アーチャー氏は「国境調整が導入されれば経営が立ち行かなくなる可能性もある」という。

 ジョージタウン大学マクドノー経営大学院のブラッドフォード・ジェンセン教授は、米企業を輸出業者と輸入業者と分けることは難しいと話し、大手輸出業者の90%以上は輸入業者でもあり、その逆も同様だと指摘する。地方の小さなメーカーでも、価格の安さや国内では生産されていないといった理由から素材の一部を海外で購入している業者は多く、国境調整案の目的の1つである「米製造業の支援」を複雑にしている。