Thursday, July 21, 2016 9:55 AM
グーグル、クラウドに人工知能を統合〜アマゾンとマイクロソフトに対抗
グーグル(Google)は、クラウド電算市場で激しく競合するアマゾン(Amazon)やマイクロソフト(Microsoft)に対抗するために、人工知能機能を統合したサービス拡充によって新規顧客の獲得策を強化している。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、グーグルはデータ・センターの増設や拡充と同時に、クラウド事業に人工知能を活用する作戦を2015年から進めており、20日には、同社がこれまで社内利用してきた2種類の人工知能プログラムを顧客がクラウド利用できるようにする方針を打ち出した。
それらの新機能は、機械学習(machine learning)技術を基盤とし、過去のデータ分析から学習することで、顧客の要望に応えられる解析能力を向上させる。たとえば、文書の意味を解したり、会話をテキストに変換したりする機能も追加される。
グーグルによると、利用企業はそれらの人工知能プログラムを使うことで、ソーシャル・メディアに投稿された自然言語での意見の内容を認識し、自社に関する評価や指摘といった書き込みを集めて解析できる。
また、顧客サポートへの電話内容を要約することによって、消費者の感想や動向を分析することも可能となる。
グーグルはそのほか、画像の内容を理解する人工知能プログラムも提供する。それによって、わいせつ画像の掲載を警告したり、顔の表情から感情を読み取ることも可能となる。
それらの機能を試験的に使っている利用企業の一社は、人工知能プログラムによって会話をテキストに変換して要約し、20億件という膨大な量の問い合わせ電話の内容を解析して顧客満足度を把握し、その向上を図れるようにした。
アマゾンやマイクロソフト、IBMといったクラウド大手らでも、機械学習機能をクラウド・サービスに統合し、人工知能の活用をすでに実験している。
マイクロソフトの顧客であるワシントン州タコマ市教育委員会では、人工知能機能が組み込まれたアジュールを公立学校管理システムに導入し、膨大な量のデータを解析することで落第する可能性の高い生徒を予想し、先回りして対策をとれるようにしている。
クラウド・サービス市場では、グーグルはアマゾンとマイクロソフトを追う位置にいる。調査会社大手フォレスター・リサーチによると、2016年における大手3社のクラウド事業売上高は、アマゾンが108億ドル、マイクロソフトが101億ドル、そしてグーグルが39億ドルと予想される。
【http://www.wsj.com/articles/google-uses-ai-to-lure-new-cloud-customers-1469030402?mod=LS1】