Thursday, August 31, 2017 9:54 AM
ダイヤモンドがリチウムイオン電池の救世主に
ドレクセル大学(ペンシルベニア州フィラデルフィアにある私立大学)と中国の精華大学および華中科技大学の研究者らは、リチウムイオン電池のデンドライト形成を抑える可能性がある方法を発見した。
リチウムイオン電池では、カソード(正極)とアノード(負極)のあいだをイオンが移動するのにともなって、樹枝状の結晶が電極に形成される。デンドライトの形成は、リチウム電池が不具合を起こす最大原因の一つとなっている。
リチウムは、蓄電容量という観点からは正極材料として理想的だが、純粋なリチウムでカソードをつくれば、デンドライトの形成量が大きくなる。この問題を解決するために、既存電池の多くは、リチウムにグラフィーンを混ぜている。しかし、グラフィーンは、蓄電容量を大幅に下げるという短所がある。純粋なリチウムのカソードとリチウム、そしてグラフィーンのカソードのあいだでは容量に10倍もの違いがある。
クリーンテクニカ誌によると、ドレクセル大学と精華大学、華中科技大学の研究では、超微細ダイヤモンドを使ってデンドライトの形成を抑える手法によって、正極材料のリチウム純度を高められる可能性が確認された。
ドレクセル大学のユリ・ゴゴシ教授が率いる研究班は、専門誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」に「Nanodiamonds Suppress Growth of Lithium Dendrites」と題した論文を発表し、その詳細を説明している。
ナノダイヤモンドは電気メッキ業界で使われており、金属の表面塗装を均質化する効果がある。
今回の研究では、リチウムイオン電池の電解液にナノダイヤモンドを混ぜることで、充放電の最初の100サイクルにおけるデンドライトの形成がほぼ完全に抑制されることが確認された。
同技術が実用化されるには、まだ何年もかかる可能性がある。今後、多数の電池をさまざまの条件下において長期間にわたって観察する必要がある。
【https://cleantechnica.com/2017/08/28/diamonds-batterys-best-friend-lithium-ion-battery-breakthrough/】