Monday, August 15, 2016 11:25 AM
NOAA、海の騒音対策に着手〜年内に10年計画発表へ
海底油田の掘削、船舶の往来、海洋施設の建設など人間が海で出している騒音から海洋生物を守るための対策を、連邦政府が検討している。
ロイター通信によると、海洋大気庁(NOAA)の海洋漁業局は年内に、海の人工騒音を減らすための10年計画を発表する予定だ。その草案は、騒音規制や統一した騒音測定システムの導入のほか、海洋生物が集中する場所の情報と照合できるよう、騒音データのオンライン・アーカイブを作成することなどを提示し、騒音が海洋生物に与える影響に関するより詳しい研究や、環境保護団体と産業界、軍と政府の連携の強化などを求めている。
NOAAは現在、継続観察が義務付けられている海洋哺乳類の17%しかデータを収集できておらず、一方では地球温暖化で北極海の氷が減少し航行や開発の可能性が高まっており、海の騒音対策は急務となっている。
海中には太古の昔から雷鳴やクジラの声などさまざまな音があり、魚や海洋哺乳類はそれらの音と共存できるように進化してきたが、現代は人工騒音にあふれており、杭打ちやしゅんせつ、エアガンを使った人工地震波、潜水艦のソナー、風力発電、砕氷船などが騒音の量を劇的に増やしている。
カリフォルニア州沖では、貨物船の増加などでこの数十年の間に海中の騒音量が7倍に高まっており、騒音が増えると海洋生物がコミュニケーション、餌の捕獲、移動などに使う音と干渉する。シロナガスクジラは餌や交尾相手を探すときに歌を歌い、バンドウイルカは音波を出してその反射音で物体の位置を確認しているほか、魚やカニの幼虫は岩礁の音で方向を判断し、テッポウエビはハサミを打ち鳴らしたときの音で泡による衝撃波を発生させ獲物の捕獲や自己防衛に使っている。
NOAAは以前から掘削のような1回限りの作業に関しては騒音許可の取得を義務付けているが、今回の計画の草案には初めて、より広範囲かつ長期的な騒音規制が盛り込まれている。多くの石油会社はすでに静音化技術に投資しており、欧州連合(EU)も海の騒音に対する目標を作成中で、国連の国際海事機関(IMO)は2014年に自主的な指針を導入している。