Monday, August 20, 2018 10:43 AM
機械学習を使って閉塞性冠動脈疾患を3分で診断
胸部位相信号を機械学習アルゴリズムで検知することで閉塞性冠動脈疾患(coronary artery disease=CAD)を既存の有効な試験と同等の精度で特定できることが実証された。
それが実用化されれば、胸部位相信号は約3分で収集され、患者は、侵襲検査を受けることもなければ放射線を浴びることもなく、造影剤を投与されることも薬理学的な負担もない。
カーディオ・ヴァスキュラー・ビジネス誌によると、同試験と論文執筆を率いたトーマス・スタッキー医師(ノース・カロライナ州グリーンズボローにあるコーン・ヘルス心臓&血管センター)は、「近い将来に、機械学習を土台とした新たな診断ツール群が広く使われるようになるだろう」「われわれの心臓位相空間断層撮影の分析結果は、機械学習で学んだアルゴリズムが冠動脈疾患患者の病状診断に新たな画期的方法になることを示すものだ」と述べた。
スタッキー氏の研究班は、胸の痛みを訴えて冠動脈専門医による診察をすすめられた512人の患者を対象に、機械学習アルゴリズム・モデルを構築した。同モデルはその後、追加された94人でも試験され、96%の精度でCADと診断した。
通常、血管造影で70%以上の血管狭窄が認められた場合に閉塞性CADと診断される。
スタッキー氏らの開発した機械学習アルゴリズムは、胸部位相信号をもとに心臓位相空間断層分析と心室位相断層分析によって閉塞性CADを高精度で特定できる。そのため、心血管のエックス線撮影や血管造影剤投与も不要で、患者への心臓負担もまったくない。さらに、診察コストも劇的に抑えられると期待される。