Monday, August 29, 2016 9:59 AM
現行のスマート検知器では自動運転に限界〜中央集中型演算への移行が必須
自動運転技術が進化するにつれ、こんにちの分散型プロセッサーとスマート検知器にもとづくプラットフォームではなく、強力な中央集中型のプロセッサーと低遅延接続にもとづくプラットフォームが必要になると指摘される。
コンピュータワールド誌によると、調査会社のABIリサーチは、中央集中型の先進運転支援システム(ADAS=Advanced Driver Assistance Systems)プラットフォームを搭載した車が2025年に1300万台出荷されるという予想を示した。
「新しい中央集中型のADAS設計は、検知器やプロセッサーを統合し、スムーズな走行計画と効果的な衝突回避のための意思決定を統合していくだろう」と、ABIリサーチのジェイムズ・ホジソン氏は話す。
中央集中型のADASプラットフォームは、自動車部品やシステム・オン・チップ(SOC)メーカーから発表されるようになっている。ホジソン氏によると、中央集中型のADASプラットフォームは、現行のADASに搭載されている典型的なスマート検知器に比べ、はるかに高性能の8〜12テラフロップの演算処理力を実現する。
この種のプラットフォームを手がけるおもな会社には、NXPやモービルアイ(Mobileye)、エヌビディア(NVIDIA)がある。
デルファイ・オートモーティブ(Delphi Automotive)とモービルアイは、完全自動運転システムの共同開発計画を発表したばかりだ。モービルアイは、自動運転技術をめぐってBMWおよびインテルとも提携している。
自動運転車の演算処理能力は車外通信網にも大きく関係する。V2V(車車間、vehicle-to-vehicle)通信やV2I(車と社会基盤を結ぶ、vehicle-to-infrastructure)通信がその代表だ。
自動運転技術は比較的短期に著しく進化してきたが、テレマティクス(テレコミュニケーションとインフォマティクスの2語を合体させた造語で、移動体に無線通信機能を装備することで可能となる機能やサービス)の基盤設備を含め、さらなる開発が必要な部分もまだ多数残されている。
「これまでのアーキテクチャーの制約内でできることは、早くも限界に近付きつつある。同業界に携わる企業は、中央集中型のADASアーキテクチャーに移行するための計画を適切に練らなければならない」とホジソン氏は述べた。