Thursday, January 23, 2020 9:25 AM
手術用ARめがねに必要なのは立体追跡機能
拡張現実(AR)機能を搭載したARめがねの試験的業務利用が増えるなか、手術に使う場合には、ARディスプレイの大きさと解像度という一般消費者がもっとも重視する仕様が無関係だ、とスイスの研究者らが報告した。
ベンチャービート誌によると、チューリッヒ大学とチューリッヒ工科大学、そしてバルグリスト(Balgrist)大学病院の研究者らは、ARめがねを手術で使う際の最重要技術仕様として立体(3D)追跡を挙げた。
マイクロソフトのホロレンズ(HoloLens)の場合、脊髄固定手術の際にデジタル立体解剖地図を投影し、執刀医がその地図を参考にしながら手術を円滑に進められるようにする。ARめがねがなければ、侵襲性エックス線を使って場所を特定していかなければならないことから、ARめがねは手術に有用と考えられている。しかし、ホロレンズは立体追跡機能を備えていないため、ホログラムがぶれやすく、執刀医が頭をわずかに動かすだけでも映像がゆらぐという課題がある。
研究者らは、人工的に作った脊椎を使って立体マッピング・ポイント・クラウド(コンピュータ処理を可能にするための立体的な点群を使った対象物立体デジタル化システム)を作成し、それをもとに、人工脊椎に対して実際に執刀した。その結果、ホロレンズは、ARを使わないほかの術式と同等の精度を実現することがわかったものの、ホログラムのブレを防ぐためのソフトウェアとハードウェアの大幅改良が必要だと指摘した。
研究者らはそれと同時に、ARめがねにとって立体追跡機能が手術には不可欠だと断言し、それを実現する解決策として6DoF(Six degrees of freedom)追跡技術やマイクロソフトの深度検知カメラ「アジュール・キネクト(Azure Kinect)」を挙げた。
【https://venturebeat.com/2020/01/20/researchers-say-low-res-3d-tracking-limits-ar-glasses-use-in-surgery/】