Friday, February 21, 2020 9:05 AM

5G対応のARとホログラフィーで協業空間を実現へ

 ホログラフィーを活用した拡張現実(augmented reality=AR)ソフトウェアを開発するスペイシャル(Spatial)は19日、ARヘッドセットを製造するエヌリアル(Nreal)および携帯通信サービス(キャリヤー)3社と提携した。それら5社は、5G通信を介した法人向けAR製品の商品化に向けて協力する。

 ベンチャービート誌によると、スペイシャルの協業ソフトウェアは、立体映像をホログラフィーで投影し、その仮想空間でアバターを使って最大9人までの共同作業を可能にする。利用者の平面写真から数秒で立体アバターを作成したうえで、利用者の言動をアバターの動作や唇の動きに反映させることができる。

 利用者は、一般的な形式のデジタル・ファイルを表示したり、仮想空間にある白板を使ったりしながら作業できる。また、仮想空間に参加していない視聴者らにその様子を逐次転送して見せることもできる。

 スペイシャルとエヌリアルは前から協力関係にあり、スペイシャルのソフトウェアをエヌリアルのARめがねに対応させるための開発で協力してきた。

 今回、両社の共同開発にドイツ・テレコムと日本のKDDI、韓国のLGユープラス(LG Uplus)が加わり、ソフトウェアをスムーズに動作させるのに必要な5G環境を整備することが決まった。また、キャリヤー3社は、エヌリアルのARめがねとその使用に必要となるアンドロイド・スマートフォンをそれぞれの直営店で販売する。

 「ハードウェア、チップセット、キャリヤー大手らが力を合わせるこの関係は、ARにとって完ぺきだ」と、スペイシャルのアナンド・アガラワラCEOは話した。エヌリアルのARめがね「ライト(Light)」が500ドル前後という価格の手ごろさや、キャリヤーらからの5Gサポートがあることで「開発が加速する」と同氏は話している。

 スペイシャルのソフトウェアを動作させられるほかのプラットフォームには、マイクロソフトのホロレンズ(HoloLens)やオキュラス(Oculus)のヘッドセット、アップルのアイフォーン(iPhone)があるが、それらはワイファイ接続に依存することが多い。

 ライトは現在、開発キットとして1200ドルで販売されている。数ヵ月以内に消費者向けの廉価版が市場投入される見通しだ。

https://venturebeat.com/2020/02/20/spatial-nreal-and-5g-carriers-team-up-for-holographic-collaborative-ar/