Tuesday, May 05, 2020 9:43 AM
EVに軽量化の利点なし?〜ドイツ学生が研究報告
電気自動車(EV)は内燃エンジン車と違い、鉄製部品を減らして車体を軽量化しても省エネルギーや排ガス削減といった利点は得られないという研究論文を、独インゴルシュタット工科大学(THI)の学生が発表した。
エレクトライブによると、論文を作成したのはTHIの修士課程学生マニュエル・シュバイツァー氏。
EVの専門家の間では、以前から車体の軽量化が賢明かどうかについて議論があった。軽い車のエネルギー消費量が少ないことは確かだが、重い車は同じ速度だと軽い車より高い運動エネルギーを持つため、回生できるエネルギー量も多い。
シュバイツァー氏の研究の目的は、内燃エンジン車とEVタイプの車両に最適な材料の組み合わせを知ることにあった。リソース効率とエミッション(排ガス)量の観点から、車両の軽量構造対策の効果を調べるため、駆動システムごとに下位中流クラスと高級車をモデル化し、さまざまな材料の製造時のエネルギーやエミッションを含めて比較計算した結果、軽量構造のモデルはライフサイクルを通して同クラスの鉄製モデルよりも多くのエネルギーを必要とし、エミッション量も多いことが分かった。
電動モーターは、効率が高いだけでなくブレーキをかけた時にエネルギーを回生できる可能性があるため、重量が増えることによる悪影響は内燃エンジン車ほど大きくはなく、エミッションを全体的に減らすには、軽量構造より「資源効率の高い材料の選択」の方がはるかに優れた手段になるという。
数字で見ると、下位中流クラスのモデルでは、資源効率の高い材料を選択することによって、バッテリー生産時のエミッション量を9〜13%、高級クラスでは19〜24%削減することができ、こうしたエネルギーとエミッションの削減によって、バッテリーの容量を増やしてEVの航続距離を伸ばすことができると見ている。
https://www.electrive.com/2020/04/22/study-shows-that-light-weight-does-not-benefit-evs/