Wednesday, February 17, 2021 10:30 AM

最適航路を人工知能で特定し船長に助言

 人工知能ソフトウェア新興企業のベアリング・ドット・エイアイ(Bearing.ai)は2月16日、海運業界向けの予想助言ソフトウェアを市場投入し、これまでの隠密運営から表舞台に出てきた。

 ベンチャービート誌によると、同社のソフトウェアは、燃費や利益、安全性を考慮した航路誘導を最適化して貨物船やタンカーの船長らに助言および推奨内容を提示する。

 2019年にシリコン・バレーで起業されて以来、ベアリング・ドット・エイアイは計300万ドルのベンチャー・キャピタル投資を集めている。おもな投資会社には、グーグル・ブレインの共同創設者アンドリュー・イン氏や三井物産がある。

 ベアリングのディラン・キールCEOは、 三井物産から提供された三井商船および2500の貨物船とタンカーに関するデータを使って最初のモデル群を訓練した、と話した。ベアリングはその見返りとして、三井商船MOLと川崎汽船Kラインの300隻、そしてゼロノースの貨物船に予想サービスを提供した。

 キール氏によると、ベアリングの人工知能ソフトウェアの中核機能は、燃費を最大限に高められる航路の特定だ。貨物船にとって最大の単一営業コストは燃料費だ。ベアリングは、各種の検知データに船の大きさや航行位置、気象条件、風、波の大きさといったさまざまの要素を加味して、燃費が最高となる航路を人工知能モデル群によってはじき出す。検知データは、燃料検知器や航行速度検知器、そのほか多くの検知器から毎分集められる。

 「天気は、燃費を左右する最大の単一要因だ」「天気によっては、航路を調整して燃費を最適化するだけで燃料消費量が30〜40%違ってくる」とキール氏は話した。

 ベアリングは、同社が構築した人工知能モデル群が貨物船の燃料消費量を98%の精度で予想できる、と説明している。

 コンテナ船の需要は2020年に新型コロナウイルス・パンデミックによって激減した。海運業界もほかの業界と同様に、自動化と業務効率化、コスト削減の圧力に直面している。

https://venturebeat.com/2021/02/16/bearing-ai-emerges-from-stealth-to-power-recommendations-for-shipping-boat-captains/