Monday, February 22, 2021 10:11 AM
企業のESG活動管理にブロックチェーンが貢献
企業によるESG(environmental, social, and governance)活動に透明性をもたらすうえで、ブロックチェーン技術が役立つという見方がさらに強まっている。
英国のインスティテューショナル・アセット・マネジャー誌によると、技術コンサルティング会社キャプコ(Capco)はこのほど、報告書「金融サービスにおけるESG ー 現在と未来(ESG in financial services – today and in the future)」を発行し、ESGのすぐれた実践方法が明確にされていないために投資家らが企業を評価しにくいという現実を指摘した。
たとえば、服飾小売会社ブーフー(Boohoo)は、ESGの実践を重視する多くの投資基金から投資されていたものの、イギリスの工場での劣悪な労働環境を2020年に指摘されたことで、わずか数時間で時価総額を13億ポンド落とした。同社は2020年6月時点でMSCIからAAの評価を受けており、供給網の労働環境という点で業界上位15%に番付けされていた。
キャプコでは、人工知能やトークン化、台帳技術といった先進技術を活用することで、ESGの格付けを向上できると説明している。特にブロックチェーンを使った「インパクト・トークン(impact tokens)」は、ESGの好ましい業務慣行を証明する手段として採用する会社が増えつつある。
この種のトークンは、国連の持続可能の開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)に対する具体的な貢献を裏付けるものとなる。たとえば、二酸化炭素排出の削減量や学校に通っている子どもの数をブロックチェーンに登録して、供給網全体にわたって追跡できるようにするといった応用法が想定される。
国連の世界食糧計画が支持している「フィッシュコイン(Fishcoin)」は、そういったデジタル・トークンの例だ。漁業従事者らが漁獲の場所や魚の種類、重さといった各種の情報をスマートフォンで記録するとフィッシュコインが発行され、ブロックチェーン・プラットフォームにアップロードされる。それらのトークンの費用は、出所や品質を確認するためのデータを必要としている卸売業者や輸入業者によって支払われている。
インパクト・トークンが普及すれば、「インパクト投資」に透明性をもたらし投資を活性化できる、とキャプコは報告した。
https://www.institutionalassetmanager.co.uk/2021/02/15/295932/blockchain-technology-can-bring-clarity-company-esg-practices-says-capco