Monday, August 02, 2021 11:55 AM

クラウド競争、アマゾンとマイクロソフト以外に勢い

 企業向けクラウド・サービス市場は、これまでアマゾン(Amazon)とマイクロソフト(Microsoft)の戦場とみなされてきたが、最近になって多数のクラウド提供会社が競合するようになっている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、企業や行政機関のクラウド・サービス利用者は最近、複数のサービス提供会社を組み合わせて使うようになっており、利用側が必要な機能を絞り込んでクラウド業者らを競争させることで価格を引き下げようとする動きも顕著になっている。

 そういった傾向から恩恵を受けつつあるのが、グーグル(Google)やオラクル(Oracle)、IBMだ。ただ、アマゾンとマイクロソフトは、いまでもクラウド市場で圧倒的な地位を維持している。

 調査会社ガートナーの調べによると、クラウド・サービスの世界市場は2020年に約32%成長し592億ドルに達した。2022年には1068億ドルに達すると予想される。

 パンデミックを受けたクラウド市場の成長は、アマゾンとマイクロソフトの業績にさらなる追い風になるとみられるが、マルチ・クラウドの流れは、この2強の勢力を相対的に少し弱まらせる可能性がある。

 信用情報を提供するエクスペリアン(Experian)は、2014年からアマゾン・ウェブ・サービシズ(Amazon Web Services=AWS)を使ってきたが、その後、マイクロソフトとグーグルを追加し、最近ではオラクルも追加した。

 また、AT&Tも、マイクロソフトやグーグル、そのほかの企業のクラウド・サービスを混合して業務体制を構築している。

 クラウド体制の再考は、企業だけでなく省庁機関にもみられる。中央情報局(CIA)は2013年にAWSを採用してクラウドへの移行を開始したが、2020年に当初の契約が終了したのを受けて複数ベンダーへと切り替えた。国防総省は7月、マイクロソフトとの10年間にわたる100億ドル契約のジェダイ(JEDI)計画を撤回した。代わりに複数企業と契約する意向を説明している。

 ソフトウェア会社フレクセラ・ソフトウェア(Flexera Software)が発行している毎年の報告書によると、マルチ・クラウド戦略を採用している企業は2021年に92%を占め、2018年の81%から上昇した。

https://www.wsj.com/articles/battle-for-the-cloud-once-amazon-vs-microsoft-now-has-many-fronts-11627221600?mod=tech_lead_pos11