Monday, October 04, 2021 10:53 AM

インテル、第二世代の神経形態学的電算チップを発表

 インテル(Intel)は9月30日、神経形態学的(neuromorphic)電算プログラムを強化すべく、ロイヒ2(Loihi 2)とラーヴァ(Lava)を発表した。

 ロイヒ2は、ロイヒ・チップの第二世代で、前世代より最大10倍速い演算処理を実現する。かたやラーヴァは、神経形態学的電算処理を想定したアプリケーション群の開発向けのオープン・ソースの枠組みだ。神経形態学的電算は、人間の神経系生物学を模した回路によって演算処理能力と速度を劇的に向上させると期待される。

 ベンチャービート誌によると、昨今、チップ開発をめぐっては、インテルのほかにIBMやHP、MIT、パーデュー大学、スタンフォード大学の研究者らが神経形態学的電算を活用したスーパーコンピュータの開発に注力している。実現すれば、現在の1000倍以上の演算力を持つスーパーコンピュータが誕生する可能性もある。

 インテルは最近、10種類の香りの違いを認識できるよう人工知能モデルを「教える」のにロイヒ2を活用できることを実演した。ロイヒ2はまた、車いす用のロボティック補助腕を制御できるほか、感触検出ロボティック「肌」も可能にする。

 ラーヴァについては、神経形態学的電算を土台とする機能および用途に対応するために必要となる共通のソフトウェア枠組みとして同社は位置づけている。研究者や開発者らはラーヴァを使うことで、共通のツール群や手法群、ライブラリー群をもとに、従来型のプロセッサーと神経形態学的プロセッサーの両方で稼働するソフトウェアを開発しやすくなる。

 インテルが第二世代のロイヒとラーヴァによって目指すのは、次世代の人工知能やロボット、ソフトウェアが感触という情報を認識して処理できるようにするプラットフォームの構築だ。手ぶりや音、香りといった感覚入力または検出を即時認識できるようにすることで、たとえば、人工皮膚から感触を認識するといった用途が想定される。

 従来の機械学習は、大量のデータを解析してパターンを特定し、それにもとづく論理的推測をはじき出すことを得意とするが、神経形態学的電算は、人間の大脳灰白質の物理的特性に重点を置くことから機械学習とは大きく異なる。

 ロイヒ2は、パソコンやスマートフォンに搭載されるチップではなく、学術研究や産業向け研究を対象市場とする。ドイツ鉄道では、列車の運行スケジュールをいかに最適化できるかについて、ロイヒ2を使った神経形態学的電算によって試験中だ。

https://venturebeat.com/2021/09/30/intel-unveils-second-generation-neuromorphic-computing-chip/