Thursday, February 03, 2022 9:15 AM

アルミ業界の苦境続く〜ウクライナ情勢緊迫で

 ウクライナをめぐる米国とロシアの緊張が、この1年の電力価格上昇で打撃を受けているアルミニウム業界の状況を一層悪化させている。

■工場閉鎖相次ぐ

 ウォールストリート・ジャーナルによると、製造過程で大量の電力を必要とするアルミ業界は、すでに何カ月も前からエネルギーコストの上昇に苦しんでいる。アルミ価格は1トン当たり3100ドル超と過去6カ月で24%も上昇し、10年ぶりの最高値に近づいている。ロシアは世界有数のアルミ生産国であり、製造業者や投資家らは、ウクライナで紛争が起きれば輸出に支障が出るのではないかと懸念している。

 アルミ製造コストの半分近くを占めるエネルギーは高騰し、すでに中国や欧州ではコストを削っても収益を維持できない工場が閉鎖に追い込まれている。欧州では、寒さに加えてロシアからの供給が減っているため、天然ガス価格が1年前のほぼ5倍に高騰。アルミ製錬所が閉鎖すれば供給が確保できなくなる可能性があり、アルミ価格が上昇すれば、すでに半導体不足など世界的なサプライチェーンの混乱に苦しむ自動車メーカーなど買い手のコストがますます増えることになる。