Monday, March 28, 2022 11:15 AM
量子電算、最適化問題の解決に威力を発揮
量子電算(Quantum computing)が最適化問題の解決に適していることはすでに広く知られる。
ベンチャービート誌によると、電算力の大幅向上が確実視される量子電算のハードウェアは、技術大手や新興企業らによって開発が進められているが、最適化に関してどの程度の普遍的な性能を発揮するかについてはまだ不明だ。ただ、量子電算が最適化に威力を発揮する事例は少しずつ明らかになっている。
カナダのトロントを拠点とするハイブリッド型量子電算システム開発新興企業アグノースティック(Agnostiq)は先日、ゲート=モデル量子コンピューター群(gate-model quantum computers)を用いた金融ポートフォリオ最適化ベンチマーク群によって性能向上が確認されたことを報告した。
同社の手法は、選択された超伝導およびトラップド・イオン量子コンピューター群(trapped ion quantum computers)上の多くの最適化演算を完了したのちに得られたポートフォリオ群の質を基準化または標準化(ベンチマーク)するというものだ。
具体的には、技術市場の過去の株価データを用いて4つの代表的な問題をつくりし、1)IBM製の超伝導チップ5個、2)リゲティ(Rigetti)製の超伝導チップ1個、3)イオンQ(IonQ)製のトラップド・イオン・チップ1個を使って解決した。
アルゴリズムの性能を上げるための重要なパラメーターは回路の深さだ。回路の深さとは、問題を解くために使われる演算(古典的な計算機でいうところのAND/OR論理ゲート)の数を指す。簡単に言えば、回路深度が大きくなればなるほど、最適化問題に対する量子解の質は向上する。
しかし、ノイズの多い現在のハードウェアでは、回路を深くしすぎるとノイズの影響が原因となって性能が低下する。そのため、性能が低下する手前点にある「スウィート・スポット」をアグノースティックが発見したように、もっとも比較可能の問題で改善できることがわかってきた。
同社はさらに、より高度のアルゴリズムをハードウェアに初めて実装し,回路の深さに応じて解の質が向上することを実証した。
https://venturebeat.com/2022/03/24/report-quantum-computers-are-now-better-
equipped-to-solve-optimization-issues/