Tuesday, July 05, 2022 4:22 AM

ESGブック、人工知能による持続可能性分析で投資家らを支援

 上場会社らのESG(environmental, social, and governance=環境、社会責任、企業統治)活動の実績が投資家らにとって重要な要素になりつつある昨今の動きを受けて、上場会社らはESG活動の情報を積極的に開示するようになっている。しかし、プレス・リリースやウェブサイト、決算報告、そのほか種々の報告書を含むさまざまの形式があるため、簡単に情報を入手して比較できるようにするための統一的な方法が求められている。

 ベンチャービート誌によると、そこで必要となるのが、それら一連のデータや情報、関連業務過程を合理化する技術ソリューションであり、同分野で新たに台頭している一社がドイツ拠点の新興企業ESGブック(ESG Book)だ。

 2018年に設立され同社は、ブリッジウォーター(Bridgewater)やJPモルガン(J.P. Morgan)、シティ(Citi)、ロビンフッド(Robinhood)といった金融サービス大手らに上場会社2万5000社以上のESGデータを提供している。

 ESGブックのプラットフォームは、450件のデータ・ポイントからデータを集めるほか、人工知能を使って3万件のニュースを分析している。利用側は分析に際して2通りの方法を使える。API(application programming interface)を介して投資家や資産運用担当者らが自身のシステムにデータを供給するか、貸借対照表ファイルで投資ポートフォリオ全体をESGブックのシステムにアップロードし、そこで分析を行う方法だ。

 ESGブックは、SECが新たな関連規則の策定を検討していることから、米ベンチャー・キャピタル投資業界から関心を集めている。同社は6月23日、シリーズBの資金調達で総額3500万ドルを獲得したことを明らかにした。同調達は、エネルギー・インパクト・パートナーズ(Energy Impact Partners)が主導し、メリディアム(Meridiam)とアリアンツエックス(Allianz X)が投資に加わった。

 「われわれのプラットフォームは、人間による分析と人工知能を組み合わせたうえで、すべての会社が自社データを確認できるようにしている。データセットの作成に非常に有効で、かつ、各社が自社データを管理できる」と、ESGブックのダニエル・クライアーCEOは話した。

 同社のアルゴリズムは、汚職リスクや環境リスク、人権リスク、労働リスクといったさまざまのリスク要因を評価する国連のグローバル・コンパクト・スコアも表示する。また、ESGブックが集めた生データにアクセスして、各社のスコープ1、2、3の炭素排出量といった情報を精査することも可能だ。

 SECは、SECに登録している米社および外国の会社すべてに対して適用される当初のESG報告関連要件を3月に発表したあと、5月に改訂した。現時点では情報開示は各社の任意だ。

https://venturebeat.com/2022/06/22/esg-book-arms-investors-with-ai-powered-insights-on-sustainability/