Friday, July 22, 2022 11:10 AM
パスカルとBASF、気象モデリングを量子電算で強化へ
パリ拠点の中性原子量子電算提供大手パスカル(Pasqal)と、ドイツ拠点の多国籍化学大手BASFは7月20日、気象モデリングやそのほかの計算流体力学(computational fluid-dynamics)用途に照準した技術協力に合意したと発表した。
ベンチャービート誌によると、それらの分野におけるきわめて強力な演算による問題解決や算出は、複雑な非線形微分方程式の解法に依存しており、パスカルのハードウェアとアルゴリズムがそれらに特に適していることが判明している。
パスカルのベノ・ブロアー最高商業責任者によると、パスカルのハードウェア・プラットフォームは、レーザー・ビームで操作する個々の隔離原子を用いて量子ビット(quantum bits=qubits)を実行可能にする。同社は現在、100量子ビットのシステムを生産している。
中性原子プラットフォームは、それらすべての量子ビットを同時に所在指定できる「アナログ・モード」をサポートする。それによって、複数の量子ビットが単一システムとして機能し、相互に影響しあう量子のもつれを可能にする。
パスカルのアルゴリズム技術はそれをもとに、物理学基盤機械学習(physics-informed machine learning=PIML)のサブセットである物理情報基盤神経回路網群(physics-informed neural networks=PINN)と同等の量子電算である量子神経回路網を実装できるようにする。
PIMLの世界では、モデルとなる現象の根底にある物理法則を記述する方程式とデータを組み合わせてモデルを学習させることができる。
PIMLの技術は、気象モデリングを含む計算流体力学アプリケーション(応用または用途)を攻略するカギとなる微分方程式の解法に利用できる。
パスカルのプレス・リリースによると、BASFはその結果、「気象モデルによって生成された媒介変数を使って、作物の収量や成長段階の仮想模擬化、さらに作物保護商品を適用する際の漂流を予想できるようにする」。
気象モデリングはさらに、高度の作物最適化プラットフォームを含むBASFのデジタル農業製品群の進化や発展に貢献する。
https://venturebeat.com/2022/07/20/pasqal-basf-aim-to-improve-weather-modeling-with-quantum-computing/