Tuesday, September 06, 2022 3:19 AM
会社組織は「最高人工知能責任者」職を設置すべき
法律事務所の世界的大手ベイカー・マッケンジー(Baker McKenzie)のパロ・アルト事務所で人工知能業務担当責任者を務めるブラッドフォード・ニューマン氏は、会社らによる人工知能活用が世界規模で急速に一般化し、人工知能の活用をめぐる倫理や偏見、リスク、規制、法律に関連する問題が事業の現場で表面化しつつあるなか、会社組織らが最高人工知能責任者(chief AI officer)の職を設置することの重要性がこれまでで最高潮に強まっている、と話している。
ベンチャービート誌によると、ベイカー・マッケンジーが2022年3月に発表した調査報告「リスキー・ビジネス:会社が人工知能を監視する際の死角の特定(Risky Business: Identifying Blind Spots in Corporate Oversight of Artificial Intelligence)」によると、「人工知能の商業活用に関して各州の法律や規制の強化が進んでおり、会社らはそのため、人工知能の監視と統治に際して倫理を確保し、リスクへの露出を適切に管理することで、人工知能がもたらす問題の責任から会社を守るために、人工知能対応を強化する必要がある」。
同調査は、会社における人工知能ツール群の採用や運用、管理に責任を持つ意思決定者の一人、と自認する米国内Cレベル幹部(役職にチーフ、つまりCがつく幹部)ら500人を対象に実施された。
ニューマン氏によると、今回の調査では、人工知能リスクをめぐる会社らの大きな盲点がいくつか見つかった。一つは、人工知能がサイバー侵入リスクを拡大させ、アルゴリズムの偏向や不公正さに関するリスクをCレベル幹部らが軽視していることだ。
また、会社に対する人工知能の潜在的リスクについて取締役会が何らかの認識を持っている、と調査対象のすべての幹部らが答えたものの、そういったリスクを「重要」と答えたのはわずか4%で、半数以上が「やや重要」と軽視していることがわかった。
そのほか、会社らが「人工知能対応ツールを導入したあとの偏見是正(管理)について、しっかりと把握していない」ことも判明した。たとえば、人工知能ツールの暗黙の偏見を社内管理する場合、偏見が起きる可能性をすこしでも小さくするためのデータの洗浄や調整を実行する班を設置している割り合いは61%にとどまった。
さらに、同調査では、3分の2の会社が人工知能担当の最高責任者職を置いておらず、人工知能の監視を最高技術責任者や最高情報責任者にまかせていることもわかった。同時に、取締役会に人工知能専門家がいる会社の割り合いは41%にとどまった。
https://venturebeat.com/2022/06/07/this-ai-attorney-says-companies-need-a-chief-ai-officer-pronto/