Wednesday, December 28, 2022 11:35 AM
重要性が高まる「ヘッドレス・コマース」
イーコマースにおいて「ヘッドレス・コマース(headless commerce)」というあり方が、これからの有望なモデルとして注目されるようになっている。
ベンチャービート誌によると、ヘッドレス(headless)とは基本的に、フロントエンド部分をバックエンドのシステムから切り離すモデルだ。フロントエンドとは、ウェブサイトのほか、モバイル・アプリケーション、身体装着機器のアプリケーション、キオスクをふくめ消費者や利用者と直に接する部分を指す。それに対し、バックエンドとは、注文管理や在庫管理、顧客管理、製品情報管理といった処理を実行する部分を指す。
ヘッドレス・コマースでは、そのフロントエンドとバックエンドが分離された設計になっている。どこで商品が販売されるかにかかわらず注文対応や在庫管理、決済といった業務はすべて同じバックエンド・システムで処理される。顧客との接点が何であれ、フロントエンドで活動が起こるたびに、API(application programming interface)を介してデータがバックエンドに転送される。
ヘッドレス・アーキテクチャーには、利点と欠点の両方がある。利点としては、柔軟性が高まること、新しい機能をすばやく導入できること、すべての経路にわたって統一的体験が実現すること、セキュリティーを管理しやすいことが挙げられる。
たとえば、あるフロントエンド・プラットフォームより競合製品の技術革新の方が速く、魅力的と思えるようになった場合、ヘッドレス・アーキテクチャーなら比較的簡単に乗り換えることができる。また、新しいシステムが必要になった場合も、API接続を介して簡単に追加できる。
さらに、フロントエンドの美観や機能設計要素に変更を加えても、バックエンドのシステムに影響しないため、システムの信頼性が高まる。
かたや欠点(課題)としては、コストやシステム管理のノウハウ不足が挙げられる。切り離されたシステムをそれぞれホストして、別々にバグやセキュリティーを管理するのは、フロントエンドとバックエンドの統一システムより高価になりがちだ。経験豊富なIT班を自前で整備するか、社外の協力会社と良好な関係を構築することで、それらの困難を多少緩和できる可能性はある。
ヘッドレス・アーキテクチャーへの移行過程には時間と手間がかかり、それが意欲をそぐ可能性もある。また、移行の途上ではハイブリッドのようなモデルを経る必要もあるかもしれない。
https://venturebeat.com/data-infrastructure/what-headless-commerce-is-and-why-its-important/