Monday, March 20, 2023 11:52 AM

グーグル、法人向けスマートめがねの販売を打ち切り

 グーグル(Google)は、法人向けスマートめがね製品「グラス・エンタープライズ(Glass Enterprise)」の販売を3月15日に終了し、2023年9月中にグラス・エンタープライズ・ソフトウェアのサポートも終了する。

 CNBCによると、グーグル・グラスの後継機種と位置づけられたグラス・エンタープライズは、利用者の視界に入る透明スクリーンに、さまざまの情報を小さく表示する軽量のスマートめがねとして、製造業界や物流業界、医療業界、あるいは、設備の点検や保守といった分野で使われている。

 グーグル・グラスは、技術愛好家や開発者、先行導入会社向けに2013年に1500ドルで販売され、大きな関心を集めたが、市場において主流化するにはいたらなかった。さらに、内蔵カメラがプライバシーを侵害するという議論に発展し、コメディアンらのジョークのネタにされるようになった。

 グーグルはそこで、2017年に軌道修正し、一般消費者向けではなく業務利用向けに重点を移し、医療向けや現場作業員向けといった用途での市場開拓に軸足を移した。

 グーグル・グラスやグラス・エンタープライズは、そういった分野では先駆的存在だったが、近年、拡張現実(AR)と仮想現実(VR)端末に投資するメタやアップルといった競合社らが高性能製品の開発に取り組んでいることから、グーグルはさまざまの事業の優先順位を検討した結果、同分野では勝負しないことを決めたとみられる。

 ただ、グーグルは、スマートめがね事業から完全に撤退するわけではない。同社は2022年夏に、音声を即時翻訳かつ文字化する新型のスマートめがねの試験版を披露している。同社は、特殊かつ特定の市場だけに照準したスマートめがねの試作品を今後も試験していく方針を明示している。

https://www.cnbc.com/2023/03/15/google-discontinues-google-glass-enterprise-end-to-early-ar-project.html