Tuesday, June 06, 2023 3:47 AM

H-1Bビザの抽選応募で技術業界の一部が共謀の可能性

 米国の移民当局は先日、米国のH-1B(専門技能就労)ビザの申請をめぐって米国の技術会社らが共謀しているという見方を示し、該当する雇用主らに通知した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、H-1Bビザは、特殊技能を有する専門職者のための就労ビザで、外国籍の技能労働者を雇用する技術会社が非常に多用している。H-1Bビザの応募数は年間発行上限数よりもはるかに多いため、毎年抽選で選ばれる。2023年には申請者数がすでに過去最大に達し、8万5000人の枠に対して延べ78万1000人の応募があった。

 米政府機関の市民権および移民サービス局(US Citizenship and Immigration Services=USCIS)によると、需要増の一因となっているのが、少数の会社らが共謀して同じ応募者たちを複数回、抽選に登録していることだ。ことしの応募者のうち30万5000人は1回のみ登録していたが、複数回応募した人が約9万6000人おり、その登録数の合計が40万8000件に上った。

 同じ人が複数回応募することは違反ではないが、それらの応募者がビザを取得した場合に本当に仕事があることを、雇用主は宣誓しなければならない。ビザを取得した労働者をその直後に第三者に派遣したり、解雇してその人が別会社に転職できるようにしたりすることは、不正に該当する可能性がある。

 USCISでは、そういった共謀に関与したとみられる社名を公開していない。ただ、関係筋によると、それらは小規模の会社で、だれもが知る大企業ではない。ビザの抽選に応募する目的で事業実態のない会社が設立されている可能性もあるという。

 H-1Bビザの抽選制度は、2019年までは応募に際して数千ドルの手数料が必要だったが、2020年以降、登録手数料が10ドルに引き下げられ、当選者だけがビザ申請手数料の全額を払うしくみに変更され、応募が容易になった。

 その新しい制度が重複応募に拍車をかけたとみられており、調整や変更が必要という見方も浮上している。USCISは、2024年の抽選に際して登録料を215ドルに引き上げることを提案している。

https://www.wsj.com/articles/u-s-says-some-companies-cheat-h-1b-lottery-driving-record-applications-1a3e4fd?mod=tech_lead_pos4