Tuesday, September 19, 2023 4:37 AM
生成人工知能の仕事効率化効果、MITの実験で実証
生成人工知能(generative artificial intelligence)が世界中で利用者数を増やし続け、多くの会社での活用も加速するなか、仕事上の文書作成や繊細な内容の電子メール、費用対効果の分析といった各種の基本的作業の生産性が生成人工知能の利用によって向上することが実験によって判明した。
マサチューセッツ工科大学(MIT)が7月14日に発表した調査報告によると、今回の研究は、実際の仕事を完全に再現したものではなく、実環境に沿った事実や文脈を要求するものではなかった。それでも、同研究の参加者らの多くは、生成人工知能の利用成果について、実際の仕事で書いたものと似ており、かなりの効果があったと報告した。
今回の実験には、大学卒業の学位を持つホワイト・カラー職453人が参加した。同実験は、チャットGPTが2022年11月に公開されてから数週間後の2023年1月から2月にかけて実施された。参加者のなかには、人材資源管理担当者や管理職が多く含まれていた。
調査結果によると、オープンAIが開発し無償提供するチャットGPTにアクセスしてプロンプトの入力から得られる回答を使うことで、作業を完了するのにかかる時間は40%短縮され、独立評価者によって測定された仕事の質は18%上昇し、能力の高い人と低い人の差は縮まった。
参加者は二つの集団に分けられ、その一方だけが生成人工知能を使った。その群の大半は、出力された文章を無修正または軽く直すだけで作業を完了できた。
実験では、報告書や電子メール・メッセージを書くという2回の課題が出された。高得点を取ると報酬に賞与が加算されるしくみだった。1回目は、両方の群とも生成人工知能を使わず、かかった時間や点数に差はなかった。
しかし、2回目の課題では、生成人工知能を使えうことを片方の群だけに認め、同集団の参加者の80%が生成人工知能を使ったところ、かかった時間が短くなり、文章の質が上がった。特に1回目で点数が低かった人ほど、生成人工知能を使った場合の仕事の質が上がった。33%は、生成人工知能がつくった文章をそのまま提出し、53%は自分で修正した。
MITの研究班は、生成人工知能が労働者の仕事を助けるのか職を奪うのかについては未知数が多いため、なんとも言えないが、「労働経済や雇用機会にとって不確実性が大きい時代に入った」という見方を示した。
https://news.mit.edu/2023/study-finds-chatgpt-boosts-worker-productivity-writing-0714