Monday, December 01, 2025 6:18 AM

独ライオンスマート、英カストロールと電池モジュール共同開発へ

 蓄電装置やリチウムイオン電池システムを手掛けるドイツのライオン・スマート・プロダクション(Lion Smart Production)は、高性能電気自動車(EV)向けの新しい電池モジュールを開発するため、英国の潤滑油大手カストロール(Castrol)と提携した。双方の直接電池冷却(ダイレクトバッテリークーリング)に関する専門知識を組み合わせるのが狙い。

 エレクトライブによると、ライオン・スマートとその親会社で電池パックメーカーのライオンEモビリティー(Lion E-Mobility、スイス)は、製品に直接電池冷却技術を使っている。「イマージョン・クーリング」とも呼ばれるこの技術は、電池セル(単体)を軽量の絶縁性流体で取り囲み、急速充電時に発生する熱を直接かつ効率的に放散する手法で、1枚または2枚の冷却プレートを使う従来の方式よりセルに作用する表面積が格段に広い。

 一方、熱流体および電池熱管理の専門知識を持つカストロールは、同社のEV専用潤滑油「Castrol ON EV Thermal Fluids」を使って、最適な放熱、電力密度の向上、電池寿命と安全性の改善を図る。このモジュール・デザインは、新型の電池モジュール(セルの集合体)と冷却システムを使って、セル内部の温度分布を均一化し、最小限の温度勾配を確保するよう設計されており、冷却される接触面積が最大化され、各セルのヒューズが内部短絡(ショート)の伝播リスクを低減する。

 ライオンEモビリティーによると、共同開発する新しいモジュールは、車両のエネルギー回収量の向上を支援し、より低コストのシステムでより大きな出力と高い運用信頼性を提供できることが社内で行なった比較実験で分かった。今回の協業は、次世代プラグインハイブリッド(PHV)およびEV電池システム向けの直接電池冷却技術を前進させることが目標だが、上述の新モジュールの利点はPHVにだけ当てはまる。実験結果の詳細は公表されていない。