Monday, November 14, 2016 10:41 AM
「プリウス」がメキシコ市場で著しい回復
トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」がメキシコ市場で目覚しい回復を遂げている。
オートモーティブ・ニュースによるとプリウスは2010年、特徴的なスタイリングと世界最高クラスの燃費性能、宇宙船ばりの内装を引っ提げてメキシコに投入されたものの、販売台数は年間数百台にとどまった。価格は3万5000ドル前後と割高なうえ、メキシコには米国のようにHVを含む電気自動車(EV)への政府の補助金も欠いていた。
メキシコは現在、プリウスにとって世界4位の市場に躍進した。16年1〜9月販売は4265台に達し、既に年間目標の2600台を大きく上回っている。さらに、メキシコの企業平均燃費と排ガス基準を満たすうえでトヨタに大きく貢献している。
プリウス回復の出発点は、現地法人の経営陣交代後の13年だった。自動車販売部門を統括するギレルモ・ディアズ・アラナ氏は、「最初に取り組んだのがビジョンの構築で、メキシコで最もグリーンな自動車企業になることだった」と振り返った。
トヨタは当時、ピックアップやSUV人気を背景に、小型トラックと乗用車の販売比率が60対40だった。プリウスを乗用車底上げの起爆剤にしたいところだったが、高価格に加えて顧客への技術の説明が面倒なため、「カローラ好き」(ディアズ氏)な販売店に敬遠された。
トヨタは、オプションを削ったベースモデルを投入して価格を下げた。プリウスは、1万8000ドル(ベース)と2万1000ドル(プレミアム)の両モデルのみとなった。
トヨタはプリウスのマーケティングで、「グリーン・ラグジュアリー」という異色の高級イメージを演出。ファッション誌編集者やカーシェアリングの起業家をブランド大使に起用し、ソーシャルメディアや映画館でキャンペーンを展開した。
プリウス販売の40%を占めるメキシコシティ都市部では16年、光化学スモッグ対策で車両規制が強化されたが、プリウスへの適用は除外された。
ディアズ氏の新たな目標は、プリウス販売で3位の英国を追い抜くことだ。プリウスは既に、メキシコのEVおよびHV市場の約75%を占めているが、トヨタは他のHV投入も視野に入れている。