Wednesday, February 08, 2017 10:00 AM

倉庫の需給バランス改善〜賃貸料の上昇緩和へ

 倉庫スペースなど物流施設の供給不足が改善に向かい、賃貸料の上昇が緩和される見通しとなっている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、これまではリセッションを脱して以来の経済回復による倉庫需要の高まりに供給が追い付かなかった上、小売店はオンライン販売の増加でスペースのリースを拡大したため賃貸料が高騰していた。特に賃貸可能なスペースが全体の5%を割っていたロサンゼルスやシアトルといった都市部でこの傾向が顕著だった。

 しかし、物流施設専門の不動産大手プロロジス(Prologis)のハミッド・モーガダム会長兼CEOは2016年末のインタビューで「供給が追い付き始めた」と指摘。「新設が比較的制御されているため市場は非常に強固になってきた。成熟期に入っており、賃貸料があまり高騰しない均整の取れた市場になる」と語った。

 プロロジスは16年10〜12月期、予想通り3億4500万ドルのFFO(不動産投資信託の重要な財務指標となる賃料収入からのキャッシュフロー)を計上。施設の入居率は97.1%と過去最高を記録し、賃貸料は米国で23%以上上昇、海外では16%上昇した。

 一方、小売業界のオンライン販売は増え続け、減速の兆候は見られない。国内の商店100万軒のカード決済を追跡するファースト・データの推定では、16年末のホリデーシーズンは前年比で11%近く増加し、通年のオンライン小売店における消費者支出は11%増、百貨店は約6%減少した。

 事業用不動産サービス大手CBREグループの1月の報告書によると、17年は四半期ごとに5000万平方フィート以上の産業用不動産スペースが完成する予定で、供給が増える見通しという。