Friday, July 28, 2017 11:32 AM

核融合実験を支援するアルゴリズム

 核融合技術を手がけるトライ・アルファ・エネルギー(Tri Alpha Energy )とグーグル(Google)は、核融合研究に役立つアルゴリズムを開発した。

 グリーンテック・メディアによると、両社は過去数年にわたってその開発に取り組んできており、その成果を専門誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に最近発表した。

 同アルゴリズムは、「オプトメトリスト・アルゴリズム(Optometrist Algorithm)」と呼ばれ、核融合実験のパラメータを決める過程を支援する機械学習ツールだ。実験に携わる研究者らが望む結果を二者択一で選択していくことで、必要なパラメータを見極められるようにする。

 「プラズマの学習と最適化を加速するためにオプトメトリスト・アルゴリズムを開発した。メガネの処方を受ける際のように、示された二つの選択のうち好ましいほうを選んでいく」と、研究論文の著者は説明している。

 トライ・アルファの研究者らは同ツールを使うことで、より高温のプラズマをこれまでより長く生成できた。トライ・アルファのマイケル・ビンダーバウアー社長兼最高技術責任者は、「われわれ全員にとって物理研究を加速させる非常に有望の研究だ」と述べた。

 トライ・アルファは1998年に設立され、マイクロソフト共同設立者のポール・アレン氏やゴールドマン・サックス、そのほかの投資会社から総額5億ドルを調達してきた。中性子の少ない新型核融合をおもに研究している。

 核融合の実験は、結果に影響する要因が数千と存在するため、きわめて複雑だ。同アルゴリズムの開発にあたっては、人間の知恵とコンピュータの強みを活用する必要があった。コンピュータによる最適化だけでは、実験の安全性が確保されない可能性がある。

 「パラメータの探究に際して専門家が監督することはきわめて重要だ。複数の設定が予想外の複雑な相互作用を引き起こすことも考えられる。安全でない実験は、実際に行われるまで不透明だ」と、研究論文の著者は説明している。

https://www.greentechmedia.com/articles/read/google-and-tri-alpha-energy-develop-algorithm-for-nuclear-fusion