Monday, October 23, 2017 11:19 AM

医療業界求職者のデータ解析で離職を削減

 米医療業界には、皆保険の欠如による複雑な医療保険や高額すぎる医療費、高齢者と低所得者向けの政府の保険制度からの保険負担分徴収手続きの面倒さ、医療記録(患者データ)をハッカーたちから守るセキュリティー負担の大きさといったいくつかの深刻な課題がある。

 しかし、それら以外にも、医療従事者の離職率の高さによる人材不足という問題もある。

 ベネフィット・ニュースによると、その問題の解消に取り組む新興企業がいくつか台頭しており、その一社として注目されるアリーナ(Arena、旧Pegged Software)の解決策に期待が寄せられる。

 アリーナは、予測分析技術を応用するシステムによって、医療従事者の初期離職を10%削減できると説明する。

 アリーナでは、予測分析に使うデータを三つの方法で取得している。まず、リンクトインやグラスドア(Glassdor)といった仕事人向けソーシャル・ネットワーキング・サイトに掲載されているデータ。次に、アリーナと協業する486の医療関連施設から集まる膨大な数の履歴書。そして、求職者から得た質問票に対する回答と長期勤務者の回答との比較データ。

 同社では、個人データの取り扱いに関してプライバシー保護を確保するために、カリフォルニア州の州法に準拠している。

 アリーナのアルゴリズムは、集めた全データを解析し、長期勤務かつ功績を残している人と求職者を比較することで最適な人材を特定する。医療サービス機関はそれにもとづいて、求職者にとってふさわしいと分析された職種を提示する。

 アリーナの予測分析技術を採用している医療サービス機関には、メリーランド州ロックヴィルの病院がある。同病院では、アリーナの技術を採用した結果、従業員のとどまる率が5倍に上がった。

 また、テネシー州メンフィス近郊の病院では、導入前に20%だった離職率が導入後に13.9%に低下した。

 ニューヨークのコンサルティング会社によると、米国では毎年、医療従事者のおよそ50%が離職している。

https://www.benefitnews.com/news/health-systems-turn-to-predictive-technology-to-fix-the-talent-crisis