Wednesday, October 10, 2018 9:46 AM

クレディ・スイス、社員向け仮想執事を正式導入

 スイスの銀行大手クレディ・スイス・グループ(Credit Suisse Group)はこのほど、従業員の仕事を支援する目的で、人工知能を基盤とした仮想執事(ヴァーチャル・アシスタント)の本格的導入を決めた。

 導入された仮想執事チャットボット(ソフトウェア)は、IPソフト(IPsoft、ニューヨーク市拠点)が開発したアメリア(Amelia)。

 サーチCIO誌によると、アメリアは、各部署の従業員たちから寄せられる簡単な問い合わせに回答することで、従業員らが雑務に費やす時間を削減して重要な業務に集中できるようにすることを目的とする。

 クレディ・スイスのデジタル&認知サービス部長ジェニファー・ヒュウィット氏によると、同社の従業員らは社内業務支援部署に電話する代わりにアメリアとチャットすることで、小さな課題を迅速に解決できる。従業員数7万5000人の同社では、従業員向けの業務支援担当部署への質問が多く寄せられる。

 アメリアは、従業員たちからの問い合わせ内容を自然言語処理人工知能技術によって分類し、アメリアが処理できないと判断した内容だけを人間の支援担当者らに転送する。

 同社では、アメリアの実効性を18ヵ月間にわたって試験運用して検証した。アメリアは当初、従業員からの質問のわずか23%しか理解できなかった。しかし、試験運用のもと、従業員とのやり取りをすべて記録し、その内容を継続的に学習した結果、試験開始から5ヵ月後には質問内容理解力が83%に上昇し、最近では87%に達した。

 ただ、ヒュウィット氏は、アメリアの理解力が90%を超える可能性が低いと話す。人間でも職務を完璧にこなせないのと同様に、アメリアにも限界があるが、ちょっとした質問に答えることで従業員の仕事を軽減でき、社全体の労働生産性を大幅に向上できることが確認できた、と同氏は述べた。

https://searchcio.techtarget.com/feature/An-18-month-old-virtual-agent-at-Credit-Suisse-gets-its-bearings