Thursday, May 23, 2019 10:05 AM

ゲーム感覚と小売を組み合わせたドロッピットのオランダ式競売

 ニュージーランド拠点のオンライン競売サービス新興企業ドロッピット(DropIt)は、米国市場の開拓に本格的に乗り出した。

 フォーブス誌によると、同社は、米国の競技場やアリーナの電光掲示板を運営するダクトロニクス(Daktronics)と提携して、モバイル・アプリケーションを基盤とする競売プラットフォームを米国市場で拡大しようとしている。

 オンライン競売市場では、イーベイ(eBay)をはじめ多くが古くから存在するが、ドロッピットは、特異な手法によって老舗大手らに挑戦している。ドロッピットの特徴は、入札者が価格をつり上げていく通常の英国式ではなく、時間の経過とともに価格が下がっていくオランダ式をとっていることだ。競売は60秒限定で行われ、価格が毎秒下がっていく。

 ドロッピットがおもに対象とする商品は、ほとんどあるいはまったく割り引きされることのない高級ブランド品だ。一般的には、500ドル以上のメーカー希望小売価格からスタートする。

 競売参加者らは、価格が十分に下がるまで待ちすぎればほかの参加者に奪われるリスクを冒すことになる。そのため、「心臓の強さ」が問われ、ゲーム感覚をもたらす、と共同設立者のピーター・ハウエル氏は話す。「ゲーム体験を創造することを当初から目指した」。

 同社は、2015年に設立された。2019年3月までに開催した競売は8万3000件で、2020年3月までには60万件に到達するのが同氏の見通しだ。

 ドロッピットは、商品を競売に出す企業から手数料収入を得る。

 同社は、2017年にダクトロニクスと提携して、野球場の電光掲示板を使って競売を実験的に開催し始めた。ダクトロニクスは、米国内の競技場に設置されている電光掲示板の約80%を保有する。

 「球場やチームは双方向のコンテントを欲している。ドロッピットは、ファンを引き込む理想的な機会をもたらす」と、ダクトロニクスのジョッシュ・ハワードソン氏は話している。

 消費者側には、高価品を安価に購入する機会、ブランド側には大きな広告効果をもたらす可能性がある。

 アリゾナ州フェニックスで行われたある野球の試合では、ドゥカティ製の2万ドル以上のバイクが5300ドルで競り落とされた。三菱自動車のSUV「アウトランダー・スポーツ」は、3万ドル以上のところ1万5000ドル強で落札された。

https://www.forbes.com/sites/pamdanziger/2019/05/19/online-auction-platform-dropit-combines-the-excitement-of-gaming-with-retail/#301503e9ebbb