Thursday, October 10, 2019 10:02 AM

ウォール街とシリコンバレー、スタートアップの評価見直し

 ハリウッドの芸能人代理事務所エンデバー・グループ(Endeavor Group)はこのほど、新規株式公開(IPO)の計画を棚上げした。事務スペース共用サービス最大手ウィーワーク(WeWork)がIPO延期に続く動きとなった。

 シリコンバレーの新興企業を中心にIPO延期が相次いだことで、ベンチャー・キャピタリストや投資会社はスタートアップの企業価値の見直しを強いられており、「2019年はIPO隆盛の年になる」という当初の期待は大きく外れそうだ。

 フィナンシャル・タイムズによると、フロリダ大学ジェイ・リター教授(金融学)は「企業価値評価の転機が訪れた」「(約10年間にわたる好況で新興企業の評価額は高騰したが)ようやく正気を取り戻してきた」と話した。

 近年では最大のIPOを5月に実施した配車サービスのウーバーは、人件費をはじめ販促や技術開発への投資がかさんで黒字転換の兆しすら見えず、時価総額を下げ続けている。ウィーワークは赤字経営やCEOの不正疑惑、大麻使用といった報道によって、1月時点で470億ドルだった評価額は150億ドルにまで落ち込み、先日はCEOが実質的に更迭された。

 19年の3大IPOであるリフトとウーバー、ペロトンの株価は、平均すると上場時から28%も下落している。

 ソーシャルメディアのピンタレストと動画会議サービスのズーム(Zoom)は例外で、株価は上場以来44%、120%とそれぞれ大きく上昇している。