Monday, March 23, 2020 10:05 AM

欧米の病院、立体印刷やクラウドソーシングで緊急対応

 一部の病院では、新型コロナウイルス「コーヴィッド19」の感染者急増を受けて、医療機器類の部品の在庫減少に対応するために、立体印刷やクラウドソーシング(crowdsourcing、群衆の力を資源とする手法)の活用によって急場をしのごうとしている。

 CNBCによると、イタリアのある立体印刷技術新興企業のクリスチャン・フラカシーCEOは、人工呼吸器を酸素マスクに接続するバルブの在庫が近所の病院で切れかかっていたことを知り、当該バルブの試作品を立体印刷し、それが機能することを同病院で試験して確認したのち、「100個のバルブを作製して病院に届けた」と話す。

 類似の動きは、リヴァプールやニューヨークでも起きている。バドメン・インダストリーズ(Budmen Industries)のアイザック・バドメンとステファニー・キーフの両氏は先日、ニューヨーク州シラキュースに設置されたコロナウイルス検査場で働く医療従事者向けに、300個以上の保護面を立体印刷した。

 また、コロナウイルス感染者急増によって備品の在庫減少深刻化を解消すべく、医療関係者や医療機器技術者らは、重要な機器類や備品類の部品調達や修理をクラウドソースするためにオンライン活動を展開している。

 さらに、医師や病院技術者、立体印刷業者らは、グーグル・ドックス(Google Docs)やワッツアップ(WhatsApp)を使って、人工呼吸器に代表される重要な医療機器類の修理や組み立て、調整といった技術的情報や助言を提供しあうオンライン・データベースを構築している。

 米病院協会(American Hospital Association)によると、コーヴィッド19によって米国内の入院患者は4800万人に達し、そのうち96万人が人工呼吸器を必要とする可能性がある。

 人工呼吸器には、接続バルブやチューブ類といった消耗部分がいくつかあり、また、修理も必要となる。立体印刷によってそれらの構成品をすばやく作製できれば、稼働率を上げられる。また、人工呼吸器の修理を必要とする病院がどこにあるかや、修理できる技術者がどこにいるかといった情報をオンライン・クラウドソーシングすることで人工呼吸器の稼働率を上げ、救命に貢献できる。

【https://www.cnbc.com/2020/03/21/hospitals-turn-to-crowdsourcing-3d-printing-amid-equipment-shortages.html】