Thursday, April 08, 2021 8:48 AM

「トランプ減税」大転換〜増税案、議会調整は難航必至

 バイデン政権が7日公表した2兆5000億ドル規模の法人税増税案は、前政権下で実施した「トランプ減税」からの大転換を図るものだ。ただ、米議会では野党共和党のみならず、与党民主党内からも批判が出ており、難航は必至。政権側は増税幅の縮小などを視野に、実現にこぎつけたい考えだ。

 「広く門戸を開いている」。バイデン大統領は7日の会見でこう述べ、共和党議員との交渉に自ら乗り出す意向を示した。レモンド商務長官も中国との競争で、半導体分野への約500億ドルの投資には増税が必要とする一方で「妥協の余地があるのは明らか」と述べた。

 税制改革の実現には連邦議会での関連法案の成立が不可欠だ。共和党はトランプ減税で21%まで下げた法人税率を28%に引き上げる案に反発。民主党も一枚岩ではなく、穏健派は25%であれば賛同する姿勢を示している。

 米国の税制改革は時代の流れをつくってきた。レーガン政権が推進した1980年代の税制改正や、ブッシュ(子)政権による2001年の大型減税が代表例だ。オバマ政権では減税の期限切れなどに伴って景気後退の危機を招くとの見方が広がるなど、増税は経済への悪影響がとりわけ意識される。

 バイデン氏はトランプ減税前と比較すれば28%に上げても依然低水準で「15年で1兆ドル超の増収になる」と理解を求める。だが、15万9000人分の雇用が失われるとの民間試算もあり、着地点はまだ見えない。